フィッシィング・カップル~後編~ | ■■ 無職牛乳 ■■

フィッシィング・カップル~後編~

須磨海釣り公園にて放置されたと思しき娘さんに遭遇した志無巻 。連れて来たなら面倒
見ろよ、と姿の見えぬカレシに毒づきながら、とりあえず手持ちの仕掛けボックスからサビキ
をチョイス。娘さんの仕掛けを交換しておきました。その間わずか1分たらず。ついでなので
サビキのエサであるオキアミもセットです。釣れるといいね娘さん。


「たまーに釣れてなくて気の立ってるオッサンとかいるから気をつけてねー。」


と笑顔で娘さんを送り出し、何となくやる気の無くなった志無巻はゴリラと合流。その日の
釣果が思わしくなかったゴリラは少々イライラモードでございます。気のたっているオッサン
は自分のカレシであったかと気恥ずかしい気持ちを覚えつつ、晩御飯の心配はないから
そろそろ帰ろうと提案していたトコロに先ほどの娘さんとダーリンがやってきました。あら?
まだ何か用かしら?と思っているとカレシのほうが


「どうもすいませんでした、何かこいつが迷惑かけたみたいで…」


と謝るではありませんか。そして彼女にも「ほら、オマエも謝れよ!」と謝罪を強要。いや、

あの、そんなに迷惑かかっておりませんし謝るのなら志無巻ではなく連れてくるだけ連れて

きて放置してしまった彼女に対して謝るべきではないのか?娘さんそこはキレてもいいトコ

ですよ!


「あの…ほんと…すいませんでした、私のせいで…」


だから!悪いのはあなたではなくあなたを放置したそのオトコ!あなたね、そんなことじゃ
この先このオトコに暴力振るわれたりするわよ!!えーい、言ってやる!思ったそのとき


「ふのりサーン!!!カワハギ釣れたでー!ウマヅラちゃうでー!!!」


と嬉々としたゴリラの声が。キラキラした瞳でピチピチしているカワハギとアイスピックを

差し出し「肝たべるやろ?はい、シメて♪」と。イエッサー!他所のカップルの事情よりも

我が家の食卓!カワハギの肝は絶品ですもの急いで血抜きをしなくては!悲しいかな

釣り人根性。


結局この問題カップルには「いいえ、どういたしまして」という当たり障りのない言葉を返す

にとどまったのでございます。アイスピック片手にカワハギを屠りながらではございましたが。