フィッシング・カップル～前編～

日本全国津々浦々「海釣り公園」なる施設がございます。いくばくかの入場料を支払い
公園内に入場するとそこにはエサや仕掛け、軽食を売る売店や食堂、トイレ、水道、貸し

竿まで完備。場所によっては釣堀も併設され女子供を連れて行くには格好のレジャー

ポイントなのでございます。

数年前の秋口こと。志無巻はキラキラゴリラに乞われるままに須磨海釣り公園という
釣りスポットにでかけておりました。ふたりして同じところで釣っていても仕方が無いので
いつものように二手に分かれてフィッシング・スタート。

3時間後。晩御飯のおかずぐらいは釣ったことだしちょっと一服…と道具（注１）を持ち
人のすくないゾーンに移動。それでも一応念のため釣り糸だけは垂らしておきタバコに
火をつけた志無巻。当然目は竿先をおっていました。乙女の象徴ミルクティーで水分
補給をしつつ2本目のタバコを咥えた頃…ん？アタリ（注２）か？

竿先がピョコン！ピョコン！と動いています。しかし魚にしては不自然な動き…とりあえず
あげてみますか。リールをグリグリグリ！魚の感触はなし。根ガカリ（注３）？それにしては
すんなり上がってくるし…さらにグリグリグリ！すると、海中からくちゃくちゃになった仕掛け
登場…あららオマツリ（注４）。

うわぁ。こわいオッサンだったらどうしよう。一応化粧してるし大丈夫か！などと思いつつ
おまつりの相手は…と糸の延長上を目で追うとうら若い娘さん。ものすごく申し訳なさそうに
「す、すいません…」と小さくなっています。

あららー。からまっちゃったねー。ほどいちゃうからちょっと待っててねー。自分がオッサンと
化した志無巻がもつれた部分を手元に引くと修正不可能なからまりぐあい。こりゃ切った方が
早いな、と思いよーくみると娘さんの仕掛けはサビキという種類でございます。複数個ついて
いる針の下にエサかごをとりつけ、そこにオキアミをいれてゆする、という方法なのですが…
100円程度で買える仕掛けがボロボロなのでございます。しかもあなたエサバケツは？竿を

みるとレンタル竿。さてはカレシときて放置されたな。

来週につづく→

注１：竿、エサの他に道具箱、バケツ、折りたたみイスなどが対象です。
注２：魚のかかっている気配のこと。達人になるとアタリで魚の種類がわかります
注３：海底の岩や障害物などに針がかかること。地球を釣るとも言う。
注４：釣り人の仕掛けと仕掛けがからまりあうこと。乗合船などでよくみられる。